PROFILE
株式会社Grit
内田 祐介 / 中山 隼輔
今回は、株式会社Gritの内田社長と中山社長に突撃インタビューしてきました!
立ち上げた経緯を教えてください
私たちグリッドは看護師2人で会社を4月から始めました。
医療機関で長く働く中で、どうしたらいいか、 もう少しやりようがあるんではないかと感じたことを、外に出てやってみようと思ったのがきっかけです。
御社の商品、サービスの強みを教えてください
強みは3つあります。
他の会社と異なり、運転から容態管理までを看護師が担っているのが1つ。
2つ目は、高度救命に従事していた経験があるため、生命維持装置などの高度管理医療機器(人工呼吸器など)を使用している方の搬送も可能なところ。
3つ目は、救命領域での経験から、母体の方から末期癌の高齢者まで、年齢や疾患を問わず対応できるところが強みです。
御社の商品、サービスについて教えてください
サービス内容は2つの軸があります。
1つは、傷病者を搬送する民間の救急事業です。
もう1つは、病気や障害があるために外出や旅行が難しい方に、看護師が同行して支援する事業です。この2つが今のところ軸になっています。
ー民間の救急は普通の救急車とは違うんですか?
現在、民間で利用できる搬送サービスとして、介護タクシーと民間救急の2つの事業があります。
介護タクシーは、医療ケアが必要ない場合に、介助を行いながら搬送するサービスです。
タクシーにプラスアルファ介助がつく形。
民間救急は、医療ケアが必要な場合に利用するサービスです。
例えば、特定の項目があるんですが、痰の吸引や酸素を供給しながらの搬送、容体を観察しながら、次の医療機関や在宅へ搬送する際に使っていただくサービスになります。
ー救急車だと、緊急の時に呼ぶけれど、違いはありますか?
消防庁が行っている救急搬送事業と似ている部分もあります。
民間救急は、少し落ち着いて、次の地点に向かう方や、前の病院で調子が悪くなったために、次の医療機関でより進んだ医療を受ける必要がある方の搬送を行います。
医療従事者が同行することで、安心・安全に受けていただけるかなと思っています。
ー他に同じようなことをやってる人もいますか?
そうですね、日本全国で、コロナ禍をきっかけに事業所は増えましたが、医療ケアが必要な場合に、外部の看護師が同行して、初めましての患者さんを搬送する事業者さんがほとんどです。看護師が常勤で動いている事業所もありますが、うちは運転も容態管理も2人ともが看護師でやってますという、ちょっと異色な企業になっています。
ー 例えば行きたくても行けない場所へ連れてってくれるってことですか?
そうですね。その方がギリギリ行ける場所ではなく、その人が本来やりたいこと・行きたい場所に向けて動いていきたいと思っています。
ー結構大変そうですね。
そうですね。医療機関で長らく働いてたので、 初めてのことも多いとは思うんですけど、その点には自信を持ってやっていけるかなと思って。
ー初めて聞いたんですが、誰かやっている人はいますか?
移動・搬送をメインに活動する医療職者もいますし、居託支援の分野で、 在宅支援、訪問診療、訪問看護・介護をやっている事業所さんが、外出・旅行時にサービスのプラスアルファでやられているところもあります。
従業員の自慢をしてください
見ての通り、男性看護師2人で事業を運営しています。私は普段は落ち着いて見えますが、実際は真逆でどちらかというとイケイケどんどん、思い立ったらすぐ行動するタイプです。その点、中山君が冷静に調整してくれています。逆に中山君は見た目と違って、非常に繊細に物事を一つ一つ考えてくれるので、いいバランスをとりながら会社をやっていけていると思います。
苦しかったことなんですか?
自分たちは看護という仕事をしかしてこなかったので、経営や会社の設立については全く分かりませんでした。お金の管理にも職業柄疎い生活をしてきたので、お金周りのことや会社を動かす知識を0地点から勉強しなければいけなかったのが、一番苦しかったですね。
ーそれどうやって勉強したんですか?
起業する前に、東京都が企業の準備を後ろ盾してくれる場があり、そういった講習に参加したり、自分で書籍を買って少し勉強をさせてもらいました。
ー中山さんは苦しかったことがありますか?
そうですね、売上が立つまでは非常に苦しかったです。4月に設立しましたが、事業の性質上、登記をした後に許認可を申請しなければならないという縛りがありました。許認可書を提出するところまではスムーズに進みましたが、認可していただけるまでにかなり時間がかかって、大体4か月かかったので、その間の生活やいろんな準備の大変さを痛感しました。
特に、認可が下りるまで銀行からの融資も受けられず、医療機器の購入もできないなど、様々な面で進められないことが多く、身体的にも精神的にも、このままいつまで許可が下りないのかという苦しい時期でした。
会社をやっていて嬉しかった経験はなんですか?
看護師の仕事上、金銭面で売上が立つことも非常に嬉しかったのですが、やはりプライスレスな部分があります。
例えば、お亡くなりになる前に最後の時間をお家で過ごしたいという方がいて、医療機関からご自宅にお連れすることがありました。病院で最初にお会いした時、もう本当に身の置き所がないような、体育座りのような格好で一切動けない状態でした。しかし、短い時間、1時間ほどの移動の間に話したり関わったりする中で、お家のベッド前に着いた時には少し顔の緊張も取れていました。そして、最後には自分の力で立ち上がり、自分のベッドまで移り、ご家族が見守る中で最後の時間を過ごせました。
このような場面に立ち会えたことは、医療機関ではなかなかできなかった経験です。そういった部分にも踏み込んで看護という仕事ができたことがすごい嬉しかったです。
ー中山さんはどうですか?
内田とは違う案件になりますが、私もがんの末期の方をご自宅にお連れしたことがあります。その時は、7時間ほどご自宅で一緒に過ごしたのですが、患者さんはご自宅ではとても落ち着かれたご様子で、表情も穏やかでした。後日、病院の関係者やスタッフとお話したときに、普段は病院の看護師にも、言い方や当たりが強い方だけど、こんな表情みたことなかったと言っていただきました。
急変やいろんなリスクなど難しい部分もある中で、最後には患者さんやご家族が家に返れてよかったと話されていました。病院のスタッフからも、しっかり見守ってくれたおかげで無事に帰れたと言っていただけた時は、この仕事をして良かったと思いました。
今不足している部分はありますか?
自分たちが行っている事業の認知度がまだ低いと感じます。特に民間救急の事業に関しては、民間の搬送手段があることを一般の方が知らないことが多い。医療機関の方も使っていただいていますが、正しく介護タクシーや民間救急を選定できていないと感じます。
また、外出や旅行の同行支援に関しても、病気や障害があって外出が難しい方々が、現状のままになってしまっていることがあります。私たちのサービスが役立つことを知っていただきたいと思っていますが、まだまだ認知不足というのが一番だと思っています。
ー認知を広げるためにやることはありますか?
宣伝広告を打つなど色々検討はしています。やはり当事者に一番ぶつかるのは、紙媒体や冊子などが一番早いと思っています。今フリーペーパーに記事を載せていただいたり、ホームページやSNSを活用して、多くの人に知ってもらえる手立てを模索している最中です。
これだけは負けないってありますか?
元々病院で働いていた時から、看護師としての姿勢に自信を持っていました。会社を立ち上げる際も、自分たちがやろうとしたことをやり抜こうという意志を込めて、会社名を「グリッド」と名付けたので、強い信念の元動いていることは他には負けないと思っています。
ご利用者様やご家族様を笑顔にしたいという気持ちは絶対に負けないと自信があるので、全面的に押していきたい部分ではあります。
3年後のビジョンを教えてください
段階を考えていますが、3年後ここまで到達できたらいいところは、損益分岐点を超えて、自分たちの会社の収益としてどんどん入っていくことです。この目標は3年後の春くらいを見据えています。
自分たちも役員兼プレイヤーでやっているので、働いていただく医療従事者の数を増やす、走らせる保有車両の保有台数を増やして案件の数を増やしていきたいと思っています。
ー売り上げ目標はありますか?
とりあえず1500~2000万。
漠然とですけど、1ヶ月に100、150万円は超えるぐらいの収益は。コンスタントに立てていきたいと思ってます。
ー3年、5年以上の目標はありますか?
3年後の目標は、居宅の分野を拡充させつつ、外出・旅行の同行と結びつけたり、自費のサービスとして実施していくことです。あとは、民間救急事業を十分に広げていけたらいいなと思っています。幅広い分野で事業を展開していけたらいいかな。漠然としていますが。
10年後のビジョンも教えてください
10年後は全国展開を狙っていまして、日本全国の主要都市に支店を置いて、旅行や外出で利用する利用者さんが行った先でも、自社のスタッフが待ち構えているようにして、安心材料を増やす。さらに、国外にも目を向けて、海外で働く方が調子が悪くなった時に日本に戻ってこれるようなサービスができたらいいと考えています。他にも看護師としてできることはまだまだあると思うので、新規事業も考えながら、活動の場を広げていきたいと思っています。
ー中山さんの10年後のビジョンはどうですか?
そうですね、海外にもお連れできたらいいなと、内田が話していたところが1番ですかね。あとは、我々元々変な看護師なので、全国の変な看護師さんを集めて、変な看護師同士のコミュニティーを作ったりとか。看護師にもいろんな働き方があって、病院で働いて辛いって思うだけが看護師じゃないんだよ、病院以外にも楽しいことがあるんだよという活動もできたらいいです。それをするために、しっかり会社として利益を出していかないといけないと思う。
10年後という不確定な先の話にはなるけれど、看護学生さんや病院で働き始めた1~3年目の大切に育っていかないといけない部分に、手を差し伸べていけるような存在になっていきたいと考えています。
経営していく上で不安なことはありますか?
自分はあまりないです、なんとかなるなって、そういう性格なので。2人ならできるかなと思って会社を起こした経緯もあるので、苦しい時期もありましたけど、2人で相談して決め切れない部分を来期は3人にして、それぞれの知恵を使いながらうまくやっていければいいと思っています。
ー中山さんが不安なことはありますか?
そうですね、自分自身の生活もありこれから従業員さんを雇っていくうえで、生活を保障する部分では、どう売り上げを立てる必要があるのかや銀行からの融資をどうスムーズに受けるかであったり。ある程度は分かっているけど、もう少しスムーズに借り入れを十分にできれば、会社経営も楽になるんじゃないかと思っているので、その辺が不安ですね。
会社情報
株式会社Grit
株式会社Grit|《旅×看護》医療特化型同行サービス (@grit___inc)
さいごに
今回は株式会社Gritの代表、内田さんと中山さんにお話を聞かせていただきました。
看護師という経験を活かし、利用者さんやご家族への温かい想いや、同じ看護師仲間の拠り所になりたいという熱い想いに感銘を受けました!
内田さん、中山さん、ご協力本当にありがとうございました!