男の子たちのヒーローになる【一般社団法人Nurse-Men】秋吉 崇博社長

PROFILE

Nurse-Men

秋吉 崇博

今回は、東京都荒川区で医療事業団体Nurse-Men(ナースメン)を経営されている秋吉 崇博社長のインタビューです。

この会社をはじめたきっかけを教えてください

僕自身、看護師なんですけども、日本には男性看護師が全体の1割もいなくて、毎年看護師になる男性が増えているにも関わらず、看護師の資格を取っても看護師として働いている男性がいないんですよね。

男女共にですが、看護師の資格だけ取って、何かしら自分の思い描いたものとずれを感じて辞めていく人が多いです。
だから、免許を保有していても病院や診療所等で働いていないいわゆる潜在看護師の存在ばかりが増えていて、看護師として働いてる人たちの人数が全く増えない状況があります。

看護学校にいた時も、100人中10人ぐらいしか男子看護学生がいなかったですし、卒業して働き出したら、10人いた同級生も4〜5人ぐらい減っていきました。
働いてみたら、後輩も先輩も同僚も男性がほとんどいない状況で、片身が狭かったり、相談しにくい状況だったんです。

僕自身は女性が多い環境は苦手ではないんですが、その状況や環境に違和感を感じていたのと、男性看護師として働く魅力を後輩や世の中に届けられていないと思い、会社を立ち上げました。

ーなぜ看護師の免許を取ろうと思ったんですか。

これと言って、なにかすごいきっかけがあるわけでもないんですが、僕自身ずっと夢がなかったまま高校生活を送っていて、進路を決める際にも、どうしていくのかっていうイメージがつかなかったんです。
今まで、親に当たり前のように生活費や学費を出してもらっていてのうのうと生きてきたんだなと思った時に、自分で学費や生活費を稼ぎながら生活できないかなと考えました。
その時、当時の担任の先生から看護助手という職業を教えてもらい、看護師を目指しました。

事業内容について教えてください

会社としては2つの事業を行っていて、その1つが訪問看護事業です。
これは自分たちの看護を自宅や施設に届けるという目的の事業で、今まで病院で看護師をやってきましたが、正直院内の看護には限界があるんです。

院内での役割が決まっている中で、その病院が合わないと看護師達はただ病院を辞めるのではなくて看護師自体を辞めるに繋がりやすいんです。
「もっと働く選択肢を増やすべきだ」というところから、訪問看護事業をはじめました。

もう1つの事業ではイベント時の医療サポートを行っています。
例えば、格闘技イベントやフェス、アーティストのライブなどで体調不良や怪我が起きた際に看護師が救護する場面があるんです。

一般的な救護は何も起きなければただの待機で終わってしまいますが、ナースメンでは、イベントの目玉の1つに救護も入れてもらいたいと僕は思っています。
ナースメンが来るイベントだから会いに来るぐらいの感覚ですね。

なので、怪我人や体調不良者がいない場合は救護場所でイベントに来ている方の健康相談や介護相談などをしています。
また、指先で血糖測定をし、簡単な糖尿病予備軍などの健康診断も行っています。

ーそれは良いですね!健康診断以外にも何かありますか?

他には、心臓マッサージの方法やAEDの使い方を体験できるようなブースを構えていて、救護がない時はそこで救命体験みたいなものをやったりしていますね。
イベント内でのこういった体験は無料で行っていますが、有償で企業向けの救命講習をやらせていただくこともあります。

消防署や日本赤十字社が無料に近いような形で一次救命講習をやられているのですが、僕らはあえて有償化させてもらっています。
僕らの講習の内容というのが一般的にされている講習内容と少し変わっていて、独特なエンタメ性を持たせているんです。

実際に講習を受けても、目の前で人が倒れたら実践できるかと言ったら、みんな怖いし勇気がなかったり、内容を覚えてないために実践できないんですよね。
日本の救命って、いわゆる心臓突然死って言われる心臓が痙攣を起こしたり、不整脈で機能を果たさずにそのまま命を落とすことが年々増えていってるんです。それで亡くなっている人たちは、心臓マッサージや胸骨圧迫、AEDを使ったら一気に救命率が上がるはずなんです。

しかし、日本では心臓突然死が増えているんです。
原因ははっきりわかっていませんが、日本の食生活やストレスが原因だと言われています。

日本はAEDを世界一保有してる国なのに使える人が増えていないんです。だから、助けられる人が増えないんですよね。
心臓突然死で、毎日子どもも含め220人の方が亡くなっているんです。これは健康診断で何も異常ありませんって言われてる方々が多いんです。

やっぱりこの状況を変えないことには、いつか自分の家族や仲間がこの220人に入る可能性があるんです。
僕は病院でも心臓マッサージを何千人としてきましたが、プライベートでも5〜6人に心臓マッサージしたことがあるんです。倒れた人が他人でも、僕は助けたいって思うんです。
それは、自分の家族が僕の知らないとこで倒れた時に誰かに心臓マッサージや胸骨圧迫してもらいたいし、AEDを使って助けて欲しいと思ってるからです。

僕の知らない人であっても、この人を助けてほしいと思ってる人がいるはずだから、僕が助けるから、僕の家族も助けてねっていう思いでやっています。

僕らがやっている講習会は、エンタメ性を持たせて子どもも覚えやすく、大人ももちろん覚えられる内容で、質は下げず実践できるものになっています。

今、吉野家さんと手を組み、今年から年間スケジュールを組んでやらせていただいています。吉野家さんの全店舗の全職員が救命行為が実践できるようになれば、救命率も上がると思っています。

あとは、看護師の知識を活かして、実家で作っているお米を利用した甘酒を作り、販売しています。

甘酒って飲む点滴と言われてるぐらい体にいいのに飲む習慣がなく、正月など特別な行事の時にしか飲まないですよね。
しかも子どもたちにとっては癖が強いので好まなかったり、アルコール入りのものもあるので、子どもや妊婦さんが飲めないこともあるんですよ。

僕が作っている甘酒はアルコールが入っておらず、豆乳やヨーグルトを使い癖の少ない味付けにしていて、子どもたちが毎日飲んでも飽きないように工夫をしています。

今まで味噌汁とかって、食べる暇がなくても飲みなさいと言われることもあったと思うんです。ただ味噌汁だと学校まで歩きながら飲めない。
だけど僕の作っている甘酒は、パックに入れているのでこれだけ持っていきなさいって飲みながら学校に行けるようにしています。

甘酒を毎日飲むという習慣付けをしたいと思っています。
この甘酒はイベントで売ったりもしています。

個人的にはパーソナルトレーナーとしてキックボクシングを教えたり、女性の生理不順をメインにした体質改善サロンというものをやっています。

御社の強みはなんですか?

看護師の仕事って、在宅や病院でもそうですけど、力仕事とか体力仕事なんですよね。
あとは危険な現場も結構多いので、この辺は男性が優先的に動けるとは思っています。

今、災害支援にも行っているんですけど、災害現場なんて特にそうですよね。
女性看護師が危険な現場に行くのは僕は危ないとは思うんです。僕らが行くことによって、泊まる場所も外にテント張ってとできます。

また、被災地では女性が1人で作業していると襲われてしまったり、窃盗等の事件に巻き込まれることもあるので、そういうことを考えるとそういった現場では男性である僕たちの強みにはなると思っています。

あと、従業員というかナースメンの登録者には、病院に所属しているメンバーもたくさんいるんですが、中には民間の救急車とか弁護士や行政書士、特殊な事業で看護師らしからぬ経営者バリバリでやってますみたいな人たちも結構いますし、極真空手世界チャンピオンやプロのダンサー、ダーツのプロ、カメラマンなんかもいます。

あと、名前は言えないですけど、最近TikTokとかInstagramでめちゃめちゃバズってる方もいます。
看護師だけにとどまらない本当に多種多様なメンバーが多くいるんです。
ナースメンがいたら全て完結できるぐらいいろんなメンバーがいるというのが結構自慢です。

この仕事をしていて1番嬉しかったことを教えてください

形上、僕は経営者ではあるんですけど、ナースメンのミッションとしては、上場するとかなんかそういったものではなくて、男の子たちのなりたい職業ランキング1位に看護師をすることなんです。
今の1位はプロ野球選手とかyoutuberとかで、男性看護師は45位とかなんですよね。女性看護師は長年トップファイブに入っているのに。
看護師は汚い、きつい、稼げないとか色々言われる中でも、白衣の天使というイメージがずっとついてきていますし、親が子どもになってほしい職業ランキングでは大体1位が看護師で人気です。

性別が違うだけで、やっていることは一緒なのに、男性看護師は人気が全然ない。そもそも認知されていないのもあるんですけど、なんだか女性の看護師をサポートする存在だと思われている気はします。
それはそれで間違っていないですし、サポートすべき立場だと思うので、目指すべきはそこだと思うんです。僕らが女性の看護師さんたちをいろんな意味でサポートする、カバーすることで、男性も女性も看護師は増えていくし、看護師事態を辞めないんだろうなと思うんです。

なので今のミッションとしては、男の子たちの憧れの職業になりたいですね。まだ僕らは有名じゃないですし、本当に認知度って低いんですけど、たまに子どもたちから言われる「ナースメン見たことある」とか、そう言ってもらえた時がやっぱり嬉しいですよね。

ー拡散とかって何かしているんですか。

InstagramとTikTokですね。全然少ないですよ。フォロワーなんて少ないんですが、たまにインスタとかから、看護学校に「文化祭にゲストで来て欲しいです」とか小学校に「救命講習して欲しいです」と呼ばれるのは嬉しいですね。

会社を経営していて辛かったことを教えてください

そうですね。看護師をやっていて辛いことはたくさんありますけど、人を救えなかったっていう面ではあります。

訪問看護で言うと、それこそ自宅に訪問したら既に亡くなられていたとか、癌の末期で看取りしなきゃいけないとか、そういったことはすごく辛いです。

ナースメンという会社をやっている中で辛いところは、僕らがあえてかっこつけて見せていることに対して、本当に少ないですけど同じ男性看護師から「かっこつけやがって」と言われてしまうことですね。

本来僕らの活動だったり、僕が喋ってる内容が載っているものを見たら「キラキラしやがって、カッコつけやがって。」じゃなくなるんですよね。
やはり、男性看護師を盛り上げたり、増やすため、環境良くするためにやっているので、その男性看護師からそう言われてしまうと、悲しいですよね。

でもそれはどの会社でも一緒だろうし、目立つことをしていたら少なからずそういう中傷みたいなものは絶対生まれると思っています。そういう人達が出てきたらようやく注目され始めた、本物だ!みたいに言われるので、そこは切り替えています。

現在、不足していることを教えてください

そうですね、色々あります。
まだ、本当に小さな会社ですし、創業して期間も短いので不足しかないです。僕自身、欠陥だらけの人間だし、そんな代表がやってる会社は欠陥だらけです。だけど、そこを補ってくれる人たちが、どんどん集まってくれているのも事実なんです。

不足しているものは時間もだしお金もだしそんなこと言ったらきりがないです。ただ、やっぱり男性看護師がもっともっと増えないといけないと思っています。
今、看護師として働いてる男性看護師は8〜9万人ぐらいいます。僕らはまだ320人しかいないので、何千人、何万人とやっぱ増やしたいですね。

災害支援もそうですし、イベントの時などに動けるチームにしたいと思っています。
そうしなければ、ナースメンの認知度も上がらないですし、助けられる人も増えないと思うんです。なので、同じ志を持った男性看護師が足りていないという感じですね。

ー今後メンバーを巻き込んでやっていきたいことはありますか?

なんかtiktokも今は僕だけが前面に出ているので、そろそろみんなを巻き込んで、メンバーをどんどん紹介していきたいなと思っています。なんかメディアに出るチームみたいな感じでやっていきたいですね。

社長のこれだけは負けない!というところはなんですか?

そうですね、もう暑苦しさで言うとナンバーワンだなと思っています。
喋り出したら止まらないんですよね。一貫して最初から言ってることは、男の子たちのなりたい職業の1位になることを僕は念頭に置いているんですよ。

男の子たちのなりたい職業の1位になるって、何をしたら1位になれるんだろうって思った時に、男の子たちってみんなヒーローを通ってきてると思うんですよ。それがウルトラマンと仮面ライダーとかアンパンマンとかなのか、そこを飛び越していきなり警察官だったりとか、それが職業に反映していって、みんな夢とかを決めることが多いと思うんですよ。

だから、僕はヒーローになるのが大前提かなと思っています。看護師ってヒーローになれる職業だと思うんですよ。災害支援チームにもリーマンと入っていってますし、病院なんて本当に命の現場ですし、ヒーローって困った時、ピンチの時に駆けつけて助けてくれる存在じゃないですか。病院なんてまさにそういった場所だと思うんです。

苦しい、痛い、恐怖の中で医者よりも1番近くにいる存在って看護師だと思っているので、看護師っていう存在は頼もしい存在だと思っています。
だから、災害が起きた時には災害支援に行きますし、事件や事故が起きた時にナースメンが呼ばれるっていう風にしたいんです。

ゆくゆくはナースメンアプリを作って、登録してるメンバーのナースメンが入って、ナースメン自身が自分の時間に余裕ある日はGPSをオンにしておいて、ナースメンがどこどこにいるみたいなのが、マップに出てくる。
事故や事件が起きましたってなった時には、その現場の近くにいるナースメンに知らせが入って、知らせを受けたナースメンが「僕行きます」みたいな感じで出動して、出動した瞬間にお金がちゃんと発生して、人を助けたらポイントが入るみたいな感じのアプリを作りたいんです。

3年後のビジョンを教えてください

3年後は、今は災害支援とかに行けるようになったので、ここをしっかり今後も継続させたいと考えています。もっとも、災害なんて起きないに越したことはないし、事件や事故も起きてほしくないんですけど、こればかりは避けられないし、予測がつかないので、そういった時にちゃんとナースメンという存在が浮かぶようになっていてほしいですね。

今はまだメンバーが300人ちょっとしかいないので、3年後は5000人ぐらいになっていてほしいです。そうなれば、だんだんと認知度が上がってくると思うので、3年経った頃には職業ランキング20位以内ぐらいになっていてほしいですね。

10年後のビジョンを教えてください

10年後は事件、事故、災害といえばナースメンが成り立つようになっていたいです。アプリも作り、メンバーが5万人ぐらいいて、なりたい職業ランキングトップ3位になっていてほしいですね。

会社情報

一般社団法人Nurse-Men

https://ns-men.com/

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一般社団法人Nurse-Men

さいごに

今回は、一般社団法人Nurse-Men(ナースメン)を経営されている秋吉社長にお話を聞かせていただきました。
日本の中で救える命が救えていない現状があることを知りました。その中で、ナースメンの活動を通し、1人でも救える命が増えてほしいと感じました。

また、男性看護師だからこその強みや特徴をいかし、今後も多くの男の子たちが看護師という職業を目指していくきっかけになる存在だと思います。秋吉社長ありがとうございました。

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