PROFILE
ベースボール居酒屋エンドラン
渡邉 峰年
ー店主が語る、唯一無二の“ただいま”が言える店づくり
愛知県常滑市にあるベースボール居酒屋「エンドラン」
ここは、野球をテーマにした全国的にも珍しいお店だ。1階にはプロ野球の全試合が観られるモニター、2階にはストラックアウト場。
そして店主・渡邉峰年さんの野球と人への愛が、訪れる人々の心を掴んで離さない。
「ただいま」と帰ってくる常連客がいる、そんな温かい空間の秘密を伺った。
◆野球観戦とストラックアウトが楽しめる、唯一無二の居酒屋
お店のコンセプトについて教えてください
うちは「野球に特化した居酒屋」です。
ランチは鉄板メインの定食スタイル、夜はビールやハイボール、定番のおつまみが揃う普通の居酒屋なんですけど、店内には野球のモニターが合計4台あって、プロ野球の全試合を流しています。
あと、2階にはストラックアウト場があるんです。
12球投げて9枚全部抜けたらドリンク1杯無料。女性は6枚で1杯無料にしています。
たぶん、ストラックアウトができる居酒屋って全国でもここだけじゃないかなと。
ー選手の来店もあるそうですね？
はい。元中日の平田選手とか元中日中村武志選手、元西武G.G.佐藤選手、あと藤井淳志さんとも企画中で、8月にエンドランとのコラボイベントを予定してます。
子ども向けか大人向けか、まだ調整中ですが、そういう繋がりができるのも嬉しいですね。
◆店づくりの原点は「地元のただいまが言える場所」
峰さんのこれまでの経歴を教えてください
野球は大学までやってました。大学時代に空港の蕎麦屋でバイトしたのが飲食のスタート。
最初はメディア関係を目指してたんですけど、バイト先の料理長に出会って、飲食の世界にのめり込みました。
その後、いくつかの飲食店を経験しつつ、自動車関係の製造業にも一時就職しましたが、やっぱり喋るのが好きでサービス業に戻って。
最終的には父が始めた知多牛の食材卸の会社で5年間、仕入れや生産者との繋がりを学びました。
その経験が、今の料理や仕入れにも活きています。そして29歳で「エンドラン」を開業。
今年で6年目です。
◆ 「ただいま」と帰ってくるお客さんがいる幸せ
経営していて一番嬉しかったことは何ですか？
やっぱり「ただいま」って帰ってきてくれるお客さんがいることですね。
僕が地元で通ってた居酒屋が閉店しちゃった時、「次はここが居場所になったよ」って言ってくれた時は泣きそうになりました。
それから、野球が嫌いだった女性が、常連になってくうちに横浜のファンになって、ひとりで現地まで応援に行くようになったり。
そんな風に野球の魅力が伝わるのが、本当に嬉しいんですよね。
◆ 経営のリアルと、人との距離感の学び
経営面ではどんなことを感じていますか？
正直、飲食って儲かりにくいです。忙しい日もあればガラガラの日もあるし。
でも僕はサービス業が好きなので、苦にはなってません。
ただ、お客さんとの距離感は学びました。仲良くなりすぎて、休みの日も一緒に過ごしてた人が「なんか最近接客してくれないよね」と言い出して来なくなったことがあって…。
友達みたいな関係も良いけど、一定の線は必要だなって気付きました。
◆ 「人と野球をつなげる力」には誰にも負けない
ご自身の強みは何だと思いますか？
「人と野球をつなげる力」ですね。うちは12球団のファンが集まってます。
巨人ファンと阪神ファンが一緒に飲みに行ったりするくらい（笑）
それって、うちの店の雰囲気と僕のスタンスがあってこそだと思うんです。ここに来れば「対立」じゃなくて「共有」ができる。そういう場所にしていきたいです。
◆ 3年後・10年後のビジョン 鉄板焼き業態と多店舗展開へ
今後のビジョンを教えてください
3年以内に、念願だった「鉄板焼き」の業態を始めたいんです。
そのために、今はエンドランをしっかり再構築する時期ですね。
人材やオペレーションも強化して、最終的には僕が現場に立たずとも回るような体制を作りたい。
10年後は、僕は営業活動に専念できる状態にして、店舗数は5つを目標にしています。
居酒屋、鉄板焼き、もう一度カフェにもチャレンジして、あとは「しっかりした朝ごはん屋」や「バー」のような業態も考えてます。
最後に、来店を迷っている人へ
野球好きのための店って思われがちですけど、4割くらいは野球知らない人です。
居心地の良さとちょっとした非日常が味わえる空間を目指してるので、ぜひ気軽に来てください。
「ただいま」って言える店、ここにあります。
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