PROFILE
株式会社 イチロイモ
(ワインダイニング・ボクモ)
岩須 直紀
今回は、名古屋市中区でニュージーランドワイン専門のバーを経営されている岩須直紀社長にインタビューしてきました!
隠れ家チックですごく素敵なお店ですね!バーを始められてからは、もう長いんですか?
そうですね。最初は個人事業で始めて、2年経った頃に法人化をしまして。そこから13年目になります。
ーもう15年近く経営されているんですね。
はい。最初はいろんな国のワインを取り扱っていたんですが、5年ほど前からニュージーランドワイン専門のお店にしました。
そして実は、ニュージーランド本社のIT系企業の仕事もやっていて、前職のラジオ制作の仕事も、今でも続けています。
ーええ!そんな全く畑違いのお仕事まで…
でも確かにすごくいい声をしていらっしゃるので、ラジオDJもすごく向いてそうです。
ありがとうございます(笑)
私は以前はディレクターで、今はライターなので、残念ながらラジオでしゃべる機会はほとんどないんですけどね。
大学在学中から放送文化研究会に所属していて、学生ADとして働きはじめたのがきっかけで、そのままディレクターになったんです。2009年、33歳まで、ラジオ局で番組を作っていましたね。
そうだったんですね。では、こういった飲食店をはじめられた経緯をお聞きしてもよろしいですか?
はい。正直な話、昔はラジオの世界も華やかだったんですけど、だんだん製作費も下がってきて…家族を食べさせていくためにはもう一本柱を作りたいと思って飛び込んだのがきっかけです。
最初は、飲食店がやりたかったというよりは、イベントができる場所が欲しかったんですよね。
ラジオは電波を使って発信をするコンテンツですが、そうではなく、Fece to Faceの場を作りたいなぁ、と。
音楽イベントももちろんなんですけど、トークライブをやる箱、「トークライブハウス」って、そういえばないよなぁと思い、それを作りたかったんです。
ただ、いろいろとリサーチしたりするうちに、そういう場所はやはり「飲食ありき」なんだということ、要するに、提供する食べ物や飲み物がとても重要であることがよく分かったので、飲食店として本腰を入れることにしました。
ーなるほど。イベントはどのくらいの頻度で開催されているんですか?
コロナ前は、多いときで年間100本くらいやっていました。
今でも、数は減りましたが、イベントは定期的にやっています。一昨日もニュージーランドのワイナリーの方を招いて、ワインの説明を聞きながら飲めるプレミアムイベントをやりました。
ー正直、ニュージーランドって、個人的にはあまりワインのイメージがないんですが…
…と、言っている人は普段あんまりワイン飲まない人ですね(笑)
日本ソムリエ協会の資格試験では、ニュージーランドワインは頻出です。
確かに、生産量でいうと、ニュージーランドワインは世界のワイン生産量の1%程度なんですが、存在感がすごくあるんですよ。
日本がワインを輸入している国ランキングでは10位にランクインしています。
ー失礼しました!!
ニュージーランドワインに特化したきっかけは何だったんですか?
いとこが長くニュージーランドに住んでいることと、ワインのインポーターさんからニュージーランドワインを頂いて飲んだ時に衝撃を受けたことがきっかけですね。
ソーヴィニヨン・ブランというブドウの品種を耳にされたことがあるかと思うんですが、原産はフランスなんですね。
それを、1980年代にニュージーランドのマールボロに持ち込み、そこで育てたブドウでワインを作ったらとんでもなくおいしいワインができたという歴史があって。
ニュージーランドワインはそれがきっかけでブレイクしたんです。
ー全く存じ上げなかったです。
ちなみに、ニュージーランドワインは、どんな特徴があるんですか?
グレープフルーツやパッションフルーツのような柑橘系の風味がして、非常にフルーティでジューシーなのが特徴です。
それと、輸出が8割を占めているということも特徴ではないかと思います。
特に東南アジアでもニュージーランドワインは人気で、東南アジアマーケットを意識してワインを作っている生産者もいるくらいです。
「海外の人にいかに飲んでもらうか」という観点で作られているので、どんな国の料理にも合うような味わいのものが多いですね。
当店でも、いろんな国のお料理を提供しています。
ーわぁ、もう、その説明だけで飲みたくなってきました(笑)
ぜひ飲みにいらしてください!
当店のお客様は、リピーターさんも多いですが、遠方からいらっしゃる方も多いんです。
ニュージーランドワイン専門の飲食店は愛知県では当店だけですし、全国でもそんなに多くない。東京でも10軒に届かないくらいの店舗数しかないと思います。
3年ほど前にワインの通販も始めたんですが、その通販のリピーターさんが、「実店舗に行ってみよう」ということで来てくださるケースも多いですね。
お店を経営していて、一番うれしかったことを教えてください。
やはり、お客様の反応がダイレクトに見えることでしょうか。
遠方からお店に来るためだけに来てくれて、楽しそうにワインを飲んでくださっている姿を見たりすると、うれしいですね。
先日は、旦那様が長崎、奥様が横浜に住んでいらっしゃるというニュージーランドワイン好きのご夫婦がわざわざボクモに来店するためだけに名古屋にいらして。帰りに手をつないで帰られたのを見て、「なんて素敵なご夫婦なんだろう」と幸せな気持ちになりました。
では、一番苦しかったことは?
それはもう、コロナ時期です。なんせ営業ができなかったので、お弁当を作って販売したりもしたのですが、利益率が低くて。
ノウハウがないので、やはりお弁当屋さんのようにはいかないんですよね。
ただただ、常連さんをつなぎ留めておくためのツールでした。
その頃のブログを今振り返って見ると、頻繁に「しんどい」と書いていましたね(笑)
ただ、くさっていてもしかたがないので、その時期を機にコンセプトの見直しをしたんです。
陶器で有名な瀬戸市に出向いて、お皿を全部入替えたり、料理の質を上げるための取り組みをしたり。
それまでは洋風居酒屋的なバルのようなお店だったのですが、自分の年齢的にももう少し落ち着いたお店にしようということで、補助金を使って改装もしました。
通販を始めたのもその時期です。
ー逆境をブラッシュアップの時期ととらえるなんて素敵な考え方ですね。
3年後はどんなビジョンを描いていらっしゃいますか?
飲食を軸にしつつ通販をブレイクさせたいな思っています。
ゆくゆくは通販事業の収益で飲食事業が楽になるくらいの状態になっていたいですね。
最後に、今回インタビューを受けてみてのご感想をお聞かせいただけますか?
そうですね。実は、こういった機会をたまに頂くんですが、やはり、これまでやってきたことの振り返りになるので、この先のことを考える良いきっかけになりますね。