『いい店=使える店』 すべては“人”であるということ【株式会社アイロム】森山 佳和社長

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株式会社アイロム

森山 佳和

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森山 佳和

本日は、大人気店のBEE8(渋谷)、サカナバルを3店舗(恵比寿・六本木・五反田)経営されている森山社長にインタビューさせていただきます!

商品・サービスについて教えてください

飲食店の運営及びコンサルタント事業と缶詰の製造・販売を行っています。

飲食店では、『いい店=使えるお店』を理念に掲げて、そこに住む方や、そこで働く方々の生活に入り込めるような普段使いできるような店にと思っています。

何か特別な日じゃなくてもいつでも通えるようなお店ですね。

あと、僕だけがやっていることなのですが、TikTokで発信もしていて、飲食事業に関する様々なことをTikTokで発信をしたら、コンサルティングの仕事が入ってくるようになってきています。

御社の強みはなんですか?

全てメニューは手作りなので、どんなメニューでも対応できるというのが強みですね。

いわゆるチェーン店みたいな全部同じメニューってわけではなくて、それぞれのお店の現場で考えられて、そのままメニューにできるので、他の飲食店に比べても、新しい食材に対するフットワークは軽いですね。

ーお店のSNSを見ていると、新メニューがいっぱい出てきますが、あれは普通ではないですよね。

そうですね。周りの店を見ていてもほぼグランドメニューは変わらないですから。

うちは、SNSの発信をアウトソーシングしているのですが、その担当者の方が「新メニューがどんどん出てくるので対応が追いつかない」って言ってますからね(笑)

そういう状況なので、業者さんから「コラボしたい」と要望があった時にはすぐに柔軟に対応できるというところがあります。
これが他の会社にはない強みですね。

この仕事をはじめたきっかけから、経歴を教えてください

スタートはBEE8のアルバイトスタッフでした。最初は「面白そう!」って感じで。
ただ、その当時は、決してこの仕事でずっとやっていこうとは思ってなかったですね。

ー何年前のこと?

30年前くらい!?たしか18か19歳頃ですね。
その頃はいろんな仕事をしたんですけど、何かやると飲食業に戻ってくるという感じでした。
当時は飲食業が一生の仕事だと思っていなかったので、何かこう…、飲食業は副業みたいな感覚でやっていました。

ーその後、社員になったのはいつ頃ですか

23歳ですね。その時はBEE8のスタッフが足りないということを言われて、「じゃあ1年だけやります!」って。
そうしたら24歳の時に店長になったので辞められなくなってしまいました(笑) 
その後は、在籍していた会社のいろんなお店を担当しました。

BEE8で社員となって間もなく、2002年に日韓共催のサッカーワールドカップがあったんですよ。
僕はサッカーが好きだったので、当時のBEE8のプロジェクタ―にテレビが繋がっていなかったんですけど「(テレビを)繋げてほしい!」と上司に言ったら、「そんなもん誰も見ねえよ」と言われてしまって、そのまた上の上司にお願いして「どうしても(ワールドカップ)サッカーが観られるようにしたいのですけど」と言ったら、「自分で頼めよ」と言われてしまい、僕が大家さんのところに行ってお願いして、大家さんにテレビアンテナを設置して繋いでもらいました。

当時はインターネットがまだ普及してない時代なので、本当の口コミだけで山ほどお客さんが来店してくれて、そのことが会社の上層部の上司の目に引っ掛かって、その夏以降に店長として他の店にも行くようになりました。
最初は何も知らないで店長になりましたね(笑)

ーその後、当時の会社の経営状況が悪化したのは?

ずっと調子が悪かったと思うのですが、飲食部門だけはずっとプラスだったんですよ。
芸能の事業やってみたり、不動産やってみたりとか、結構やっていることが派手な会社だったんですよ。
その当時なんとなく思ったのは、ちゃんとはじめた事業をやり切れば良かったと思うのですが、社員が社長に誰もついていかなくて、全てが頓挫してしまった感じでしたね。

ーそして、BEE8を引き継いで起業したんですね。

僕が32歳の頃ですね。15年前になります。
BEE8しか店舗がない頃は、僕もスーツを着て接客していましたね。

前の会社の時にマネージャーとして、渋谷の5店舗を任されていたのですが、BEE8を引き継いだ後も、他の渋谷の店舗をコンサルみたいな立場で関わっていたので、前の会社が倒れて以降も渋谷から離れられなくなりました。
その渋谷の店舗の中にBEE HOUSEというお店があったのですが半年間コンサルを無料でやりました。

そういうことがだんだん落ち着いてきて、「いよいよ自分でやらないと」と。

BEE8を引き継いだ時点で、すごい借金からのスタートだったので、借金の支払いが大きすぎて、新しいお店を出して規模を大きくしないと、もしBEE8の売り上げが落ちてしまったら(会社が)終わってしまうなと思って、それで新規出店したのが恵比寿のサカナバルですね!

ーもう恵比寿のサカナバルのオープンも懐かしい感じがしますが。

12年になりましたね。その後、六本木など店舗を増やして事業を拡大しました。

ーそしてコロナ禍になってしまったと。

そうですね、コロナでぐっちゃぐちゃになってしまいましたね。
そのダメージを回復させるにはあと2年くらいはかかりそうです。

今、中長期を見通しているのですが、2年後にはキャッシュがきれいになると思います。
当時いろいろあって、そもそも借りなくてよいお金を借りてしまっていて、財務状況がおかしくなってしまいました。
今は、新しい会計士さんも迎えて回復に努めています。

今後について、会社のメンバーに反対にあったりしたのですが、僕は「今後新しくお店を出していかないと、どうしようもないと。」「2年後、3年後にBEE8やサカナバルがあるという保証はないよ」と。「俺の人生だから俺は(新しくお店を)出す!」と。
今後2店舗の出店の契約をしました!

会社を経営していて難しいことを教えてください

やっぱり人の問題ですね。

僕たち飲食店は、毎日現金が入ってきてキャッシュが回るのでなかなか倒産しづらいのですが、だから飲食店で倒産するってよっぽどのことで、財務状況が多少良くなくても、運営はしていけるというのが飲食店なので。

お店が潰れてしまうとしたら、人が足りなくなるということなので…
今は本当に(難しい問題は)人だと思いますね。

飲食店はどちらかというとPLベースで運営をしていて、不動産とか、何か潮目をみて投資するとか一般的な会社とは違うので、常日頃から売り上げをあげていくとなると、やっぱり人ですね。

人不足はもちろんそうですし、今は昔と違ってそんなに長い時間働くことができないので、昔(の労働環境)が良かったとは言えないですが、昔はスタッフが働きながらもの凄い成長していました。
今のスタッフたちはなかなか成長できる機会が少ないんですね。
昔は休みが少なく、長時間勤務も当たり前だった中、今は週に2日は休み、1日10時間以上は働かないとなると、やっぱり成長度合いが違いますよね。

ー今の社員やスタッフは先のことを考えているの?

今のスタッフの話を聞いていると、「あまり先のことは思っていない」と。
スタッフの独立志向は年々弱まっている気がします。
そういう(将来の独立という)口説き文句も通用しないようになっていますね。

お店で仕事をするというのは「『自分でお店をやっている!』という感覚でやらないと面白くないんじゃない?」という話が昔だと響いたのですが、今の人たちは、「別に自分ではやりたいと思っていないので。」と言われてしまうんですね。

今はそういう状況なので、仕事を絞って、一人一人の役割を明確にして、その人に合った仕事をやってもらうというやり方にしていますね。

僕らはキャッシュフローで経営しているということは、人がいないとお金を生み出す基盤ができなくなってしまうので、仕組みづくりもそうですが、今一番難しいことですね。

この仕事をしていて1番嬉しかったことを教えてください

僕の個人的なところで言うと、時間が自由なところですね。
自分で好きに仕事を選んで、誰にも拘束されずに仕事ができるというのは理想的ですね。

ー責任が伴う分、良い意味で「思うがままに」ですね。

そうですね。飲食で経営者の方の“あるある”かもしれないですね。

僕ら飲食の経営者の仕事は、自分から仕事を探して見つけていかないと本当にないんです。
現場から離れると仕事がないんです。
いわゆる一般の社長というのは、いろんな稟議などでハンコを押してとか、会議が沢山あるとか、いろいろあるじゃないですか。
僕の場合は、現場がなかったらそういうことが基本的にないので、自ら動いて次から次へと仕事を引っ張ってくるという感じですね。

飲食の経営というのは社長が“顔”になるので、わかりやすく社長個人の存在が際立つというか、お店の広告塔という感じで、社長がタレント化していくという面はありますね。

飲食の社長は、やっていて面白くて、時間が自由で「これ以上の幸せはない」と常日頃から感じています!

社長のこれだけは負けない!というところはなんですか?

際立って自分が違うと思うのは、人見知りをしないので、人と仲良くなるのは早いと思います。仲間の数はむちゃくちゃ多いです!どこにも所属せずに、どこにも所属しているというか、日本全国どこにでも仲間がいるって感じですね!同じ世代の繋がりというのも、外食業界の中では際立って多いと思いますね。

ー起業して間もなくの出会った頃と比べると、本当に森山社長の人脈は拡がったと感じますね。

自由な時間を、そこに思い切り最大限利用したと思っていますね(笑)

ー今となっては、森山社長のスケジュールを抑えるのは本当に大変になりましたからね(笑)。これだけ人脈が拡がっているのも、森山社長のお人柄、人徳ですね!

3年後のビジョンを教えてください

現在の経営状況としては、コロナ禍でかなりマイナスになってしまい、それを回復させるのが2年後です。

3年後は僕が50歳になるタイミングなのですが、そこまでにどうしても飲食業界の“ど真ん中”に行きたいというのがあるんですよ!

今の形が“映え”だったり、SNSを使ってマーケティングが主流じゃないですか、それがめちゃくちゃ上手くいっているんです。
けれど、僕らは「いい店を作りたい」という思いがあるで、やっていることはカジュアルなんですけど、これまで『飲食としての“ど真ん中”』を進んできた経験を踏まえて、「飲食店というのはこういうものなんだ!」というのを形にしたいという思いがあります。

だから、このようなことを実現する基盤を作るためにも、これからの2年間で経営を回復させて、売り上げをマイナスの回復分も含めて6億円に戻し、5年後以降で売り上げをまず10億円にもっていこうと考えています!

今後決まっている2店舗の新規出店もそうですが、その他にも新しいオファーをいただいていたりするので、社長自らどんどん動いて描いたビジョンを実現したいですね。

TikTokの発信も大好評をいただいて、投稿によっては20万を超える再生数になってるんです。
お陰様で飲食業界の中ではちょっとした有名人になっていたりします(笑)
そこからコンサルのお仕事をいただけているので、僕が「飲食業界を底上げする」くらいの気概で、どんどんやっていきたいですね!

今回インタビューを受けてみてどうでしたか?

あらためて自分の棚卸しではないですけど、かなり整理ができたような感じがして、時系列で話ができて、話しやすくてとてもいい機会になりました!

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最後に

森山社長とは、BEE8を引き継がれて起業されて間もない頃からのお付き合いで、公私共に仲良くさせて頂いている中で、間近に友として、社長としての活躍や苦労も側で見てきました。
マイナスのスタートからの逆境を跳ね除け順調に会社を大きくされていく中、突然のコロナ禍に見舞われました。
当然ながら会社の経営は大打撃を受け、相当に大変な状況に陥りました。
ただそんな時でも、持ち前の明るくポジティブな姿勢と溢れるバイタリティーで先頭に立って危機を乗り越え、経営を上向きに軌道修正させるパワーには本当に只々感服させられます。

今回のインタビューの中でも、そのお人柄を感じるところが満載で、これまで聞いたことがなかったような事も、つまびらかに語っていただいて、あらためて森山社長を深く知ることができました。

きっと実現されるであろう大いなる夢も力を込めて語っていただいて、益々応援したくなる!そんな貴重なインタビューとなりました。森山社長、ありがとうございました!

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