親子の心が“100倍軽くなる”時間を届けたい【リズム体操教室ヨーコアカデミー】加藤 陽子代表

PROFILE

リズム体操教室ヨーコアカデミー

加藤 陽子

元プロマジシャンというユニークな経歴を持つ陽子さん。現在はリズム体操の講師として、子どもたちや地域の方々に“心の居場所”を届ける活動に取り組んでいます。今回はそんな陽子さんに、これまでの歩みやリズム体操に込めた想いについて伺いました。

ー今日はよろしくお願いします!

現在されている活動について教えてください

親子で参加できるリズム体操の講師をしています。
それとは別に「心が軽くなるような時間を届けたい」という想いから、公益活動団体も立ち上げました。「会社」と言われるとちょっと照れますが(笑)
団体として、小さいお子さんと親御さんが一緒に楽しめる、そんな時間を地域に届ける活動をしています。

ー「リズム体操」って体操教室とは違うんですか?

「体操教室」って聞くと、運動が得意な人向けかな?って思う方もいると思うんですけど、“もっと気軽に楽しく”音楽に合わせて運動するのがリズム体操なんです。しかも特別な道具とか使わないんです。
例えば、100均で買えるような身近なものやおうちにあるアイテムを使って体を動かします。
教室でやったことをそのままできるので、みんな『おうちでもやってみたい!』と意欲的ですごく嬉しいです。
おうち遊びの幅が格段に広がりますし、親子時間が楽しくなります。さらに運動能力もリズム感も遊びながら上がっていきます。

ー特別じゃないものを使うんですね。

そうなんです、親御さんからは「これだったらうちでもできそう」って喜んでいただけますし、子どもたちも身近にあるので、モノを見てリズム体操を思い出してくれるんですよ。
つくづく、子どもって親の声かけ次第でどんどん変わっていくんだなぁとみなさんの成長を見させていただき実感しています。
だから、「集中して楽しんでいて素敵!」「こんなことできるようになったの!」と小さな成長を見つけては、言葉をかけてあげられるような、そんな関係を築いていく輪を広げていきたいです。

異色の経歴 ― マジシャン時代と“教える仕事”への芽生え
陽子さん、実はプロのマジシャンとしても活動されていたそうですね?

はい、そうなんです(笑)
10代でマジシャンの世界に飛び込みました。
マジックミュージカルの舞台でマジック事務所の関係者に声をかけてもらったのがきっかけで。
舞台の世界は厳しいし、主役になれる人なんてほんの一握り。

でもマジックの世界なら、マジシャン、ましてや若い女性マジシャンは少ないし、ステージで自分が主役になれるーそう聞いて、実力も容姿も磨けば食べていける、名前が売れればミュージカルも出られる「マジックの道で頑張ってみよう」と思い親元を離れました。

ーそこから一気にプロの道へ?

はい。イリュージョンのアシスタントから始まり、事務所に所属して最初の1年はもう、本当に毎日泣きながらの修行でした。立ち居振る舞い、礼儀、ステージでの魅せ方、すべて叩き込まれて。
とても厳しかったけれど、あの時に教えていただいたことで、10代でソロデビュー、更にユニット結成となり、ステージや番組に呼んでいただいたり、とても忙しくお仕事をさせていただいていました。

 ー日本だけでなく、海外のステージにも立たれていたと伺いました。

はい。日本全国、海外にも飛び回っていました。
もう何カ国行ったか分からないほどです(笑)
他にも、世界大会に挑戦し、アメリカでは予選落ちでしたが、中国で開催されたマジックの世界大会では、ありがたいことに3位をいただくことができました。
その当時は、マジックステージやメディア出演、サムライロックオーケストラのミュージカル出演、テレビ番組や舞台でタレントさんやスターの方々にマジックを指導するという仕事もさせていただいていました。
自分の指導を通して目の前で「できなかった」ことが「できるようになる」という喜びを経験して「いつか自分でも教室を開いて、“教える側”として活動したい」という気持ちが芽生えていきました。

ー教える仕事への原点は、すでにそこにあったんですね。

実は小さい頃から教えることが好きでした。「こうしたらできるようになる」なんて考えたり、自分よりお友達ができるようになる方が嬉しい、そんな子でした。
マジック指導をすることで更にその気持ちが強くなっていきました。
マジシャン時代は、事務所に所属していたので、スケジュール管理や営業、経理などいわゆる“マネジメント”はすべてお任せ状態。
いざ今の活動を始めてみると、自分で全部やるのがほんっとうに大変で(笑)
事務仕事ひとつとっても、慣れるまで時間がかかりました。

転機 ― 息子とリズム体操に出会って
マジシャンとして順調だった陽子さんが、なぜリズム体操へ?

きっかけは、長男が1歳のときの“習い事”でした。
その頃、ちょうどコロナ禍でマジックの仕事も止まり、家にこもる時間が多くなって。息子が、恥ずかしがったり緊張して外だと固まったり笑わなかったんですよね。
でも、たまたま参加したリズム体操の教室で、そんな息子が、もうびっくりするくらいニコニコして、音楽に合わせて体を動かしたり表現をしていて…。回を重ねるごとに息子の成長も感じられて、そんな姿に涙が出るほど嬉しくて。
「こういう親子時間って大切だな」って心から思いました。

ーそこから“教える側”になる決意を?

はい、私が経験したように「子どもとの時間をもっと楽しんでほしい」「子育てに悩んでいるママやパパを、笑顔にしたい」という想いが芽生えて、すぐに「&JOYリズム体操」の資格を取得しました。
取得後すぐに教室を開講したんですが、ありがたいことにたくさんの方にお越しいただいています。
また、市の家庭保育事業の一環として、児童センターや幼稚園、保育園にも外部講師として呼んでいただき、お陰様で地域に根ざした活動をさせていただいています。

活動をしてきて、「一番うれしかったなあ」と思うのはどんな時ですか?

普段子どもたちの成長を近くで見守らせていただけることです。それから、メンバーのみんなとステージに立ったときですね。
市のイベントで、「親子でのステージ出演、どうですか?」って声をかけてもらったんです。で、そのとき20人近くのメンバーと一緒にリズム体操の発表をしたんですけど…。
観てくださってるお客さんも、ステージの途中で一緒に体を動かしてくださって。座っていた方、見ているだけだった方まで、200人のお客様全員が一緒に動いてくれて。その一体感が、本当に嬉しかったです。
「もう、自分たちがステージに立ってる姿より、お客さんたちの様子を撮りたい!」って思ったぐらい(笑)

うまくいかないこともある。それでも続ける理由
逆に、活動の中で「これは大変だったな」っていうことはありますか?

いっぱいありますよ(笑)
特に今、団体メンバーが70人以上いるので…。
価値観も目標もそれぞれ違うから、そこをうまくまとめていくのが一番大変ですね。

ー例えば、どんな場面で苦労されますか?

たとえば、イベントに出演すると決まっても、「全員で!」とはなかなかいかなくて。
みんな家庭や仕事もあるし、出演するってなったときの調整も大変で。
しかも、うちは公益活動団体なので、そこにあんまりお金はかけられないんですよね。
だから、「最低限の費用で、どこまで楽しく、どこまでクオリティを保てるか」っていうのを、メンバーにも伝えながら、バランスをとってやってます。

ーそれでもやり続けているのは、やっぱり理由があるからですよね。

大変なこと以上にやりがいを感じています。
やっぱり“ここがあることで救われてる人”がいるって、すごく実感してるから。
最初に来たとき、「子どものいいところ、ひとつ教えてください」と言っても、出てこないママが多いんです。でも、続けて通ってるうちに、自然と「ここが素敵なんです」と言えるようになるんですよ。

声かけが変わって、子どもの表情も変わって、チャレンジする力も育っていって。そういうのを見るたびに、「やっててよかったな」って思います。

陽子さんの描くビジョン ― 3年後、10年後の未来
ー 陽子さんがこれから目指している未来についても教えてください

そうですね、まず3年後のイメージとしては、もっと“行き場がない”と感じているママたちのところに、こちらから届けていける活動をしたいなって思っています。
例えば、子育て支援センターとか児童館にすら行けない…って悩んでる方、本当にたくさんいるんですよ。そういう方たちって、周りのママ友とうまくいかないとか、子どもに手をあげてしまって自己嫌悪に陥ってるとか、「外に出るのがもう怖い」ってなってることが多くて…。

ーそういうママたちの「居場所」になりたい?

まさにそうです。
リズム体操って、表向きは“親子で楽しむ運動”なんですけど、私にとっては“心のよりどころ”を作るツールだと思っていて。人と比べるんじゃなくて、目の前の我が子とゆったり向き合って、小さな成長を「できたね」「たのしいね」って言い合えるような時間。
そんな風に、ママたちの心が軽くなる場所を、もっともっと増やしていきたいです。

ーでは、さらに10年後のビジョンも聞かせてください。

今は千葉県佐倉市、八千代市を中心に活動していますが、10年後は、国内だけではなく海外にも広げていきたいです。
以前、リズム体操の資格を取ったときの先生が「シンガポールで初めて“体育”を広めた方」だったんですね。その話を聞いたとき、すごくびっくりして。「えっ?体育がない国ってあるんだ?」って。

ー体育の授業がない国もあるんですね…!

そうなんです。実際、体の動かし方、リズムの取り方、行進を知らないまま大人になるっていう国もあって。
そういう場所に、“リズム体操”を通してエンターテイメントを届けていきたいなと思ってます。
音楽に合わせて「いちに!いちに!」ってやるだけでも、国も文化も関係なく、笑顔が生まれる。そんな活動を、いつか海外でもやってみたいんです。

インタビューを終えて ― 言葉にすることで見えたもの
最後に、インタビューを終えての感想をお願いします

改めて、自分がやっていることを言語化するって、なかなか普段はないことなので、すごくいい機会になりました。
聞いていただいて、話していく中で、「やっぱり私、子育てを100倍楽しくするためにこの活動をしてるんだ」っていうのを、改めて強く思いました。

ー 思いがすごく伝わってきました。

ありがとうございます。何より私、紹介したい人がいっぱいいるんですよ(笑)
素敵な活動をしてる方たちって、本当にたくさんいて、そういう人たちをどんどん周りにつないでいきたいなって。誰かひとりじゃなくて、みんなで楽しく。
関わる人たち全員が気持ちよく活動できる場を作っていくのが、これからの目標です。

会社情報

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【佐倉市】1〜6歳リズム体操教室ヨーコアカデミー かとうようこ

おわりに

陽子さんの話を聞いて感じたのは、「言葉じゃないところから伝わってくる熱量」でした。
マジシャンとして全国を飛び回り、ゼロから自分の居場所を作ってきた経験。そして今、子育て中のママたちに“心が軽くなる時間”を届けようと全力で向き合う姿は、本当にエネルギーに満ちあふれていました。
活動の本質は、リズム体操そのものではなく“人と人とのつながり”をつくること。
その優しさと力強さに、取材者自身もすっかり魅了されてしまいました。

親子の心が“100倍軽くなる”時間を届けたい【リズム体操教室ヨーコアカデミー】加藤 陽子代表
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