PROFILE
小栗電機工業株式会社
東田 加奈
今回は、小栗電機工業株式会社の東田社長に突撃インタビューしてきました!
最初に、御社の商品・サービスについて教えてください
一言でいうと、高圧に特化した電気工事会社です。
工場設備の設計・施工を行っている会社で分かりやすく言うと、お客様の「ここにこの機械を置きたい」という要望に対して、我々はそこから配線を考えて設計し、実際の作業は下請けの職人さんに発注。
当社は現場監督という立場で入る、というスタイルですね。
今は大手化学工場様からのお仕事をほぼ専属で頂戴しています。
東田社長は、お父様から会社を引き継がれたとお伺いしました。
もともと引き継ぐつもりだったのですか?
いえいえ、まったく。
前職は全く畑違いのことをしていて。ただ、仕事がオフの日はここでパートをしていたんです。
現場事務、総務、経理、父のサポートをしていました。
引き継ぐことは本当に考えていなっかったのですが、ある時、父が病気であることが発覚して…。
そのときに、「なにか父を喜ばせるようなことをして、元気にさせたいな」と思ったことがきっかけで、電気工事の資格を取得したんです。
そうしたら、なんと父は「お前、会社やってみろ」と。笑。
そこから私が引き継ぐという流れになり、引継ぎ式は父が入院していた病院で執り行いました。
その翌日に、父は他界してしまったんです。
-ドラマのような話ですね…
そうですよね。
ただ、当時下の子はまだ2歳で、おむつも変えてあげられないような忙しい日々が続きました。
もう、当時どうやって生活していたのか、記憶がないです。笑
-現在はワンオペ育児で、子育てと経営の二足の草鞋を履きこなすスーパーウーマンである東田社長。
普段は大垣市の現場や、その近くに構えている事務所で従業員の皆様と同じように作業着で過ごすことが多いといいます。
現在、従業員さんは何名いらっしゃるのですか?
従業員は6名いて、その内工事担当者が3名。
20~30年のキャリアがあるベテランの方が2名と、ヘッドハンティングで2021年に入社した方です。
拡大したいという想いはあるものの、この仕事は一人前になるのに10年以上かかる専門的な仕事なので、なかなかすぐに実現するのは難しいんですよね。
あとは、人を増やして育てたいですね。
御社の商品の強み、アピールポイントを教えてください
なんといっても、従業員の皆さんの技術力ですね。
専門である高圧受電設備から、幅広くどんな電気工事でもできるので、他の会社からも、「修行させてほしい」と声がかかるほどです。
あとは、働きやすさや、自由な社風もいいところだと自負しています。
土日も休みだし平日もほぼ定時に帰れる。
電気工事はお店や会社が稼働していない時、土・日・祝・夜間に作業することがありますが、幸い弊社はそういった作業が現在は年に1~2回しかありません。
従業員さんが「こんな働きやすい会社はないですよ!」って言ってくれたんです。
だからもっと弊社の魅力を外へアピールしたいです。
一人前になるまでに時間はかかりますが、入社してきてくれさえすれば、高い技術を持った従業員さんが、手取足取り教えこむことができる環境です。
–素晴らしいですね!
そんな東田社長が、この会社を経営していて一番うれしかったのはどんなことですか?
従業員さんが担当施工した工期の長い大掛かりな工事が完成したところを目の当たりにしたときですね。
形になったものを目の前にしたときの喜びは、何物にも代えがたいです。
では、一番苦しかったことは?
3年前に人が入る前、社員さんが2名しかいなかったときは相当大変でしたね。
私自身がサポートに入ることも多く、子育てどころではなかった。
冒頭でもお話ししたとおり、当時の記憶はないくらいです(笑)
でも、あの頃があったからこそ、今は何があっても乗り越えられるという自信がありますね。
-相当大変だったことがよく分かります。
そうですね。
それと、忘れられない出来事としては、一度だけ、目の前で感電事故が起こってしまったことがあって‥。
外注先の若い初心者の男の子の作業ミスが原因だったのですが、もう、手が真っ黒になっていて、近づくだけでビリビリしていて…その日は眠れなかったです。
その時に、売上を伸ばすことももちろん大切だけど、人の命、安全第一であることを改めて痛感しました。
それからは、月に一回必ず安全衛生会議を行うようになりました。
-それはショッキングでしたね…。
東田社長の、苦しかった経験も「それがあったこそ」と考えるポジティブな姿勢が印象的です。
次に、社長の「これだけは負けない!」というところはどんなところですか?
一回決めたことをやりきる力。覚悟ですかね。
あとは、女性だからこそできることを見つける力かな。
社員さんのメンタルケアには気を使っています。
私は施工管理の資格を持っていないので、皆のサポート役に徹しています。
女性ならではの気遣いだったり、そういう部分は女性である自分の強みだと思いますし、意識もしていますね。
工事で最大限の力を発揮してほしいので、環境が良くなることならどんなことでもしますし、希望もできるだけ聞くようにしています。
3年後のビジョンを教えてください
はい、まずは繰り返しになりますが、もっと人を採用して育てたいです!
それと、女性が活躍できるフィールドを作りたい、女性の電気工事従事者を増やしたいと思っています。
実は、岐阜の電気工事組合で女性部を発足して、私、代表に就任したんです。
電気工事って、女性でもできることは本当にたくさんあるんです。技術者としてはもちろん、CADを使った設計などもありますし。
先ほど強みのところでもお話ししたとおり、女性ならではの視点、思いやり、気遣いを活かせば、よい組織が作れると確信しているので、この仕事の女性への認知を高めたいです。
電気関連の仕事って、絶対にはなくならない仕事だし、価値が上がる業界だと思うんですよね。
-確かに、おっしゃる通りですね。私もなんだか興味がわいてきました!
では、10年後のビジョンはどうでしょう?
会社を組織化することです。チームとして動けるよう成長させることですね。
今はお客様打合せから工事完了まで一人で担当しています。
組織化することで一人の負担を分散することができます。
あとは、新規事業をやりたいですね。
もともとは英語が好きで英語を専攻していたし留学もしていたんです。
得意な英語を生かして新規事業で、本来自分が一番やりたかったことが実現できて居たらいいなと思っています。実は今、アジアで考えていることがあるんです。
-えー!気になります。
楽しみにしていてください(笑)
人生って、自分が思った通りになると思うんです。
ビジョンを掲げて、そこに向かって力強く邁進していきたいですね。
会社情報
小栗電機工業株式会社
さいごに
インタビュアーも東田社長と同じ「ワンオペ育児」に奮闘中です。
子育てとの両立は筆舌に尽くしがたいほど本当に大変ですが、東田社長の「ビジョンに向かって突き進む姿」がとてもかっこよく印象的でした。
ご協力ありがとうございました!