​​ただ今、第二創業期!社員が互いに理解し、共感し合える文化を【株式会社木元省美堂】木元 哲也社長

PROFILE

【株式会社木元省美堂】木元 哲也

株式会社木元省美堂

木元 哲也

今回は、学校参考書や医療専門書などの出版物のデザイン・制作を手掛ける印刷会社の3代目、木元哲也社長にインタビューしてきました!

御社の商品・サービス、会社の特徴について教えてください

当社は東京都文京区に本社を構える印刷会社で、現在69年目、70名の社員が働いています。
特に4色カラー印刷物の製造を得意とし、主に学校参考書、医療専門書等の出版物のデザイン・制作・製造、企業の販促ツール等のカラー印刷物の企画・デザイン・制作・製造を請け負っています。最近では企業や団体向けのウェブサイトの企画・デザイン・制作、またSNSの運用、コンサルティング等にも進出しています。

また、社内改革を推進しており、コミュニケーションの活性化や、「男性育休」「時短勤務」「フレックス勤務」「ノー残業デイ実施」の実現など、「従業員満足度(ES)」を向上させる経営改革を実施しています。

社長の経歴を教えてください
(この仕事をはじめたきっかけは?)

私は新卒でソニーに入社しました。27年間勤務し、主に証券業務、商品企画、事業戦略、ネットワークサービスに関わり部長職も務めていましたが、2014年に2代目社長である父の後を継いで、3代目社長に就任しました。

私の父は2代目の社長として会社を成長させてきたのですが、70~80代になり体が弱くなりました。私が50歳の頃、父は容体を悪くして入院します。
一方、当時、私は部長職で上司や先輩、同僚、部下にも大変恵まれ、感謝することが多かったのですが、いずれはほかの管理職の方と同じく役職定年になっていくのだろうと感じていました。

このころ、80歳をこえても働く父の姿をうらやましく思うようになりました。また、これまでの経験を生かすことで、木元省美堂の経営に役立つことができるのでないかな、とも考えるようにもなりました。
そういった経緯があって、2014年に父が社長を離れ、私がソニーを退職し、社長に就任しました。

会社を経営していて1番難しいことはなんですか?

父が経営をしていた頃は、社長と社員全員といったフラットな態勢になっていました。
それほどに父の影響力やカリスマ性が強かったのでしょうね。ただ一方ある意味で、管理職が育っていなかったとも言えるのかもしれません。

私が就任した当初は、個々の社員に仕事のノウハウなどが蓄積され、それを全員で共有しようとする態勢にはなっていませんでした。ひとりが欠けると、少なくともその部署の業務が滞ってしまいかねないのです。
これではお客様の仕事のご要望などに迅速に、正確に応えることができなくなると思いました。

そこで、まずは社内を把握するために約3カ月間かけて、全社員ひとりずつと1~2時間程面談の時間を持ちました。
面談では、現在の仕事や人間関係について聞いたのですが、社員たちからは不満が多く、ほかの部署への批判もありました。
後継者として多少は歓迎されると思っていただけに、カルチャーショックでしたね(笑)

私が、そのような社員たちを抑えつける?いいえ、そんなことはしません。
当社のような小さな会社では、社員たちに強く言えば早いうちに辞めていくことがありうるのです。ストレスが最も大きいのは、社員が辞めてしまった時です。
経営する立場からすると、これは本当に辛いところですね。

就任以来、社員たちと一緒になり、仕組みを新たに作り直さないといけないという思いで走ってきました。
社内コミュニケーションの活性化は、すべてのベースにあるものと私は考えています。
「共感する、共感される」はソニーの頃に管理職研修で学んだことでもあります。
私は、これからも、社員に共感する、社員から共感されるという関係を、最も大切なこととして捉え、会社の経営に取り組んでいきたいと思っています。

この仕事をしていて1番嬉しかったことを教えてください

実は、社内コミュニケーションの活性化のために行ったことは、今でも継続して実施している「個別面談」をはじめ、3ヶ月おきに行っている「ESアンケート(社内満足度調査)」など、いくつもあります。
その中でも、2016年から始めた社員間コミュニケーションツール「Good Job Card」は、社員からとても好評です。

使い方は、例えば、仕事をするうえで他の社員からサポートを受けたら、名刺サイズのカードの裏側に感謝の思いを手書きで書き添え、相手の社員に手渡す。カードの裏には「Good Job!」「Thank you!」という2つの欄があって両方の欄に☑をつけることもできます。その下の欄に相手と自分の氏名を書き、お礼のメッセージ等を添える。
受け取った社員はカードを読んだ後、「Good Job Card」用のポストに入れる。社長室の社員が定期的にポスト内のカードを回収し、集計したうえで本人に返す、という仕組みです。
もちろん、内容は他の社員には非公開です。

カードに関連する表彰も創設しており、年間で「最も多く渡した人」や「受け取った人」、「感動的なエピソードを書いた人」を表彰する機会も設けています。
この「Good Job Card」の仕組みを導入したことで、最近は、上司と部下、配属部署や他部署とのコミュニケーションが格段によくなりました。「Good Job Card」を通して必然的に対面コミュニケーションが生まれ、あまり話したことのない相手でも、ぐっと距離が縮まると、多くの社員が実感しています。

ちなみに、この「Good Job Card」、実は数年前に商品化していて、既に様々な会社や団体様でご採用いただいています。わりと大手企業様からの引き合いも多く、数十名から数百名規模の事業所単位でご活用いただいています。

そして、実はこれ、「紙を印刷してください」という注文ではなくて、「どうやったらこのカードでコミュニケーションを活性化できますか?」というところから、ご相談を受けているんですね。つまり、使い方のノウハウからお客様にご提供している感じです。こういったところでもお客様から感謝の言葉をいただくこともあって、やはりとても嬉しく思いますね。

【株式会社木元省美堂】Goodjobcard
【株式会社木元省美堂】goodjobcard2

5年後、10年後のビジョンを教えてください!

当社は3年前に、「10年~20年先にも輝ける会社になろう」、というのを大きな目標に掲げて、経営ビジョンの見直しを計りました。
印刷業界は今、紙の需要がどんどん減っていて大変厳しい環境下にありますが、各社、色々と特徴を出して頑張ろうとしています。

そんな中で当社は、もっとお客様の経営課題の上流に近いところで、「お客様のプロモーション戦略そのものを一緒に考える会社になる」、というのを新しい経営ビジョンとして掲げています。
メディアは紙だけではなくて、デジタルのアウトプットやSNSでも良いですし、立体物も製作します。また、広告宣伝のためのキーワードを探したり、そのためのキャラクターをデザインする、といったことも事業展開しています。

今まではそういう課題を解決しようとすると、広告代理店さんに頼むんですけど、代理店さんだとやはり、例えばイメージをカタチにして見せるのが難しい、といったことがあるんですね。
そこについて我々であれば、豊富な紙や素材、色のサンプルを使って、より詳細なイメージをいち早くお伝えすることができます。
そういった元々の「ものづくり」の経験を活かして、お客様のご要望の下流から上流まで、一気通貫で手厚くお手伝いできるというのが、我々の大きな強みだと思っています。

社内では、先程お話したように、3ヶ月毎に「ESアンケート」を実施していて、毎回、社員に、「仕事のやりがい、働きがい」というのを聞いているんですけど、今では75%くらいが「良い」と答えてくれています。それを見ると、本当の意味で、社内改革に取り組み続けていて良かったな!と感じますね。

社員の定着率も、この10年間で大分改善されて94%となリました。育休後の復職率は100%です。健康経営についても、先日、認定を取得しましたし、これからも働く環境や福利厚生を充実させながら、会社をより強く成長させていきたいと考えています。
そして最終的には、真の意味で、働いている社員が活き活きとしている会社にできたら良いな、と思っています。

会社情報

株式会社木元省美堂

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株式会社木元省美堂(@kmt_sbd)

インキちゃん@木元省美堂 企画デザイン室(@kmtkikakudesign)

おわりに

今回、木元社長には、社内コミュニケーションをベースに組織を活性化する、という会社づくりについてお話いただきました。今後、人材の確保がますます厳しくなってくる中小企業にとって、とても多くの示唆に富んだ内容ではなかったでしょうか。
木元社長、この度は貴重なお話しをいただき、本当にありがとうございました!

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