美味しい良い物を作って喜んでもらって蒲鉾のファンを増やしたい。【生地蒲鉾有限会社】中陳 新平社長

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生地蒲鉾有限会社

中陳新平


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中陳 新平

今回は名水の里の富山県黒部市生地で美味しい蒲鉾を造っている生地蒲鉾有限会社の中陳社長にインタビューしてきました。

会社設立の経緯と歴史をお聞かせください

法人を設立したのは昭和44年ですがその前から商売をやってまして創業は昭和2年です。
法人登記をする42年前の創業です。

創業当時は中陳家と田中家の両家が蒲鉾屋さんを始めました。
会社がまさに海の傍にあるのでその頃は近場の海に上がってきた魚や新湊で上がった魚を仕入、ここで捌いて蒲鉾にしていました。

当時は蒲鉾は大事なたんぱく源でしたので結構儲かっていたようです。
戦後になって高度経済成長期によって蒲鉾はどんどん需要が増えて法人登録をしたようです。
その頃の日本人は今より魚を沢山食べていたので蒲鉾屋さんも沢山あって富山県内で100社位あったと聞いています。

これが会社設立の経緯です。

会社を継がれることになった経緯をお話しいただけますか

経緯は結婚したことです。
「やってみんか」と言われてそんなに重い気持ちでは無くて、でもやってみたら大変だなとつくづく感じていますね。

それはお幾つぐらいの時ですか?

30、31歳の時です。やりがいもありますけどね。

事業内容と商品についてお聞かせください

事業内容は蒲鉾の製造販売です。
蒲鉾は色々ありますけども当社では蒸蒲鉾と言って蒸気で蒸す蒲鉾を製造しています。
販売先は主に富山県内のスーパーさんや観光施設です。殆どがスーパーさんに卸しています。
直接お客さんに販売することやご贈答用のギフトなんかもありますが8割ぐらいは卸売りです。

ギフトはお中元とお歳暮の時期が多いですね。
その中でもお歳暮が圧倒的に多いです。
蒲鉾の生産自体もギフト以外ではお正月を控えた時期ですので自家需要も多く一番忙しいのは11月から12月にかけてです。今は年が明けて少し落ち着いています。

これから11か月間暇になるんです(笑)
山がいくつかあればいいんですけど、山がお歳暮の時期しかなくて、小さい山が7月8月のお中元の時期ぐらいにある程度で。
だからこそ揚げ物直営店の道の駅の商品が作れるので閑散期対策としてある一定程度売れればいいのかなと思っています。

ネット通販も15年ほど前から始めました。今は全体の売上の3%位ですね。
また、2年ほど前に直営店の揚げ物のお店を始めました。揚げ物屋を今後広げていきたいです。

【生地蒲鉾有限会社】中陳新平社長

経営に対する理念とビジョンをお話しいただけますか

よく聞かれたりしますが、先々代や先代の時代から公表したり掲げたりしてるものはないんですね。

ただ私の中では先代には“美味しい物を作れ”とよく言われてました。
そこは絶対に曲げないようにしたいなと思っています。
美味しい物を作るだけじゃダメだと思っています。
その先までは勿論説明しなくてもわかるだろうという事だと思うんですけど、美味しい物を作って喜んでもらう人を増やすという事ですね。
生地蒲鉾のファンを増やしていきたいなと思っています。

ということで経営理念は「美味しい良い物を作って喜んでもらう事」ですね。
当たり前なんですが、「美味しい良い物を作って喜んでもらう事」は常に心にあり続けますし、社員にも伝えています。

今後の展望や目標、10年後の姿やチャレンジをお聞かせください

今後の目標は先程少し触れたように蒲鉾を食べる人がどんどん減ってきているのでこれは人口減少と絡んでくると思うんです。
その中でも抗って、食べる人を増やすとまではいかないですけども、ある一定程度食べて欲しいなと思っています。
その為に美味しい物を作り続けていかなければならないと思いますし、今までの商売と同じでやっていくと飽きられるだろうなと思っています。

先程申し上げた、揚げ物も練り商品の一つなので色んな食べ方の提案をしていきたいと思ってます。加熱方法を変えると揚げ物になるんですけども、例えば場所を変えてもいいんじゃないかなと思っています。
それは新しい挑戦というか、常々思っていましたけども少しずつ増やしていきたいと思っています。

当社は富山県の一番端っこの黒部市でやっていますけども、それは富山市でやってもいいですし、当社の蒲鉾をまだまだ知らない人が沢山いらっしゃいます。
蒸蒲鉾と揚げ物の蒲鉾を沢山の方に知って欲しいです。

以前は富山県に100社ぐらいあった蒲鉾屋さんが今は18社ぐらいになっています。
その中でも生地蒲鉾の特徴を捉えた製造を続けて美味しい蒲鉾を楽しんでほしいです。

10年後についてはわからないです。
ここ2、3年の物価高というのが凄いペースで来ているなと感じています。
海外から入ってくる物だけではなく、去年からは日本国内で作られている物も高くて、特に米とか野菜って欠かすことが出来ない食材ですよね。

それに引き換え蒲鉾は正直なところ必需品ではないわけです。
一般消費者の給料がこれからは少しずつ上がっていくと思うんですが、それでも現状として蒲鉾を優先的に買っていただくにはちょっとしんどいなと思っているのが正直なところです。
だからこそ新しい展開をゆっくりのんびりと構えようと考えていたのですが少し急いでやろうかなと思っています。
リスクを負ってでもやった方がいいのかなと思っています。

そこで2年前に始めた揚げ物屋さんの新しい出店を増やしていくことを考えています。
蒸蒲鉾の味のバリエーションとかも考えるんですけども、商品開発の人財も限られているので、であれば一点突破ではないですけれども揚げ物を広めていきたなと思っています。
まだ県内ではブルーオーシャンに近い食材なので。もちろんそれがだめだったら次を考えなければならないのですが。

他に伝えたいことはありますか

蒲鉾屋さん的には業界の人は皆言っているのですが900年間続いてきた食べ物なのでなくなることはないと思うので蒲鉾の良さをもう一回知ってもらいたいと思っています。
今は健康ブームでもありますし、業界としても蒲鉾が高たんぱく低カロリーであることを知っていただく取り組みをしなければならないと考えてます。蒲鉾が身近な食べ物になると嬉しいですね。

富山県の蒲鉾は珍しいので、蒸し蒲鉾や細工蒲鉾を観て体験してもらえたら面白いのかなと思います。体験に関してはスケジュールが合えば受けています。
体験もできる観光施設が出来れば面白いですね。

そこでたくさんの方に買い物を楽しんでいただいたり、細工蒲鉾づくりを体験してもらったり、またレストランを併設して買った蒲鉾をつまみにビールや日本酒を楽しむ。そんな観光施設があればいいですよね。
YKKさんのセンターパークで芝生を見ながら蒲鉾をつまむとかもいいですね。
人口減少社会においても特徴のある商品を作り続けてお客様に必要とされる企業をこれからも目指していきたいと思います。

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生地蒲鉾(いくじかまぼこ)

おわりに

今回は生地蒲鉾有限会社の社長、中陳さんに沢山お話をして頂きました。
私が幼少の頃から楽しませていただいた蒲鉾についてこれまでとこれからのお話を聞かせていただきました。
蒲鉾のファンを増やしていく為に新しい蒲鉾のあり方を模索し情熱をそそがれている素敵な社長さんです。
今後の展開が楽しみにしてます。

中陳さん、インタビューにご協力いただきましてありがとうございました。

美味しい良い物を作って喜んでもらって蒲鉾のファンを増やしたい。【生地蒲鉾有限会社】中陳新平社長
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