PROFILE

マネーテラス株式会社
梶間 勝善
御社の事業について詳しく教えてください
うちは、“ファイナンシャルプランナー(FP)を育てる”ことを軸にした教育事業をやっています。中でも、FPの6分野の中で苦手とされがちな“投資”に特化して、実践的に学べるカリキュラムを組んでいるのが特徴です。
ー具体的にはどんな内容なんですか?
1年目は“投資信託と保険の組み合わせ”を学びます。これはFPの基本なんですが、意外とちゃんと活用できている人は少ないんですよ。
2年目には“株式投資”にフォーカス。企業分析や経営視点も取り入れて、より実戦的な内容に。
3年目はそこに“法人財務”の知識も加えて、企業相手に戦略的な提案ができるよう育てていきます。
ー段階的に力をつけていけるんですね。
はい。机上の空論ではなく、“現場で使える知識”にこだわったプログラムになっています。
ー金融教育もされているそうですね?
そうなんです。小学校から大学まで、“お金の授業”をやらせてもらっていて、KADOKAWAが運営する専門学校では“投資”を正式な授業として取り入れていただいています。
これ、愛知県では初の試みなんですよ。他にも、内閣府の学生スタートアップ支援や、名古屋市のステーションAIへ入居している起業家向けに、資金調達の相談やビジネスモデルの壁打ちもやっています。
ー幅広く活動されていますね!
最近、“何屋さんですか?”ってよく聞かれます(笑)
梶間さんの経歴について教えてください
出身は愛知県刈谷市。
両親はNTTと看護師で、まぁまぁ厳しい家でした。“これ虐待じゃない?”って今なら言われるような環境で育ったんで(笑)
中学の頃には“こんな家出てやる!”って決意してましたね。
ー高校時代は荒れていたと。
夜のバイトして、17歳で先物取引に手を出して…。
バイト代を全部つぎ込んで、一時期400万円まで増やしたんですが、1年後には全部パー。税金だけ残って、必死にバイトして納税しました(笑)
ーそれでもやめなかったんですね。
“さわかみファンド”の講演会に行って、投資の本質に気づいたんです。“企業のオーナーになるってこういうことか”って。それで最初に買ったのが、当時ハマってた“モンハン”のカプコン。
結果的にそれが約140倍、医療機器メーカーの朝日インテックも約100倍。
完全に“オタク的投資”ですね(笑)
詐欺、不動産、離婚…ゼロからの再出発
ーそこから一気に資産形成されたと。
30歳で1億円の資産を築きました。
病院の先生たちにも投資を教えていたので、勤務を辞めて独立を目指し、海外不動産の営業会社に入ったんです。バリ島の東、ロンボク島の不動産で営業成績もトップでした。
ーでも、それが詐欺だった。
独立後にお客様から“登記が届かない”と連絡があり、調べてみたら“日本人はその土地を買えない”と判明。完全にポンジスキーム。
投資で作り上げてきた資産は全て消え、家も売り、離婚。マクドナルドや新聞配達でバイトして、ゼロからの再出発でした。
ー壮絶ですね…。
でもそこで、“自分のための営業だった”って気づいたんです。
本来、投資は社会を良くするための手段であり、FPは誰かの人生を豊かにする仕事。そこに立ち返れたことが、今のマネーテラスの原点です。
会社経営をして一番嬉しかったことは?
“仲間ができた”って感じたときです。
金融業界で長く働いていた人たちが『これが本来の金融だよね』って共感して、うちにジョインしてくれる瞬間は、本当に嬉しいですね。
ー生徒さんの反応も届いてますか?
『こんなFP初めて』『お金の先生でこんな感動したの初めて』って声をよくもらいます。
うちのプログラムで育った人たちが、現場で評価されていくのを見ると、本当にやっててよかったなって思います。
逆に、難しかったことはありますか?
黒歴史を“出す”決断が一番キツかったです。金融の世界って、過去の失敗を隠したがるじゃないですか。
でも、全部さらけ出したことで、“話に厚みがある”“リアリティがある”って言ってもらえるようになりました。
ご自身の強みはありますか?
“諦めの悪さ”ですね(笑)
住民税の封筒が赤くなって最終通告がきた経験もあるし、お金がない、信用がない、そんな人の気持ちは誰よりもわかる自信があります。
今後のビジョンを教えてください
3年後は、綺麗ごとで突き抜ける異端児として、まだ世にないFPモデルを確立したいですね。
10年後には、FPが“小学生のなりたい職業ランキング”に入るくらい、かっこいい仕事として広めたいです。そのために、上場も視野に入れています。“経済と志”を両立できる金融の在り方を、次世代に繋いでいきたいんです。
最後に一言お願いします
こうやって改めて話すと、自分がどこに向かってるのか再確認できます。
僕の経験が、今まさに苦しんでる人やモヤモヤしてる人の背中を、少しでも押すきっかけになったら嬉しいです。
正直、過去のことはあまり語りたくなかった時期もありました。
でも“かっこつけてるだけの金融屋”にはなりたくなかったんですよね。
失敗も、借金も、恥ずかしい思いも、全部さらけ出して、それでも“またやろう”って思えたことこそが、僕の原点だと思っています。
お金って、ただ増やすものじゃない。人の思いや痛みが詰まってて、そこに向き合える人間でありたい。僕が伝えたいのは、“金融って、もっとやさしい世界だよ”ってことですね。
